タレント登録が100名を突破し、5月から営業メンバーが新たに加わり、タレントのマッチングサービスをここからもう一段加速していければと思っています。
talentalという会社・事業は、代表である私自身がひとりのタレントとして稼働することを(少なくとも創業初期段階では)ベースとして立ち上げています。私自身、これまで一般的な転職活動も経験がなく、副業もしたことがありません。当社が軸足を置く「副業・兼業」マーケットにおける解像度が決して高いとは言えない状態でした。だからこそ、まず自分自身が実践者としてマーケットに身を置くことが、サービスの設計や質の担保において不可欠だと考えていました。
実際に複数の会社にレンタルされる体験談については、以下のブログをご覧ください。
ただ、そうした立場にありながらも、私が初期から明確に決めていたのは、「自分を中心に据えた事業構造にはしない」という方針でした。あくまで自分は、事業全体の“歯車”のひとつとして機能する構造にしていく。その前提で、組織設計や業務フローを構築していきました。
具体的には、設立初月からコーディネーターを採用し、初回商談やタレントとの面談といった業務をすべてそのコーディネーターを中心に回す体制を構築しました。私がすべての案件をハンドリングするのではなく、業務フローそのものを私以外のメンバーでも回せるようにしています。現在、タレント登録者が100名を超え、オペレーションのボリュームも増していますが、リソースに過度な負荷をかけることなく、サービスをスケールさせる道筋を描くことができています。
立ち上げ当初からこのようなオペレーションを構築することは非効率に見えるかもしれません。しかし、振り返るとこれは「やっておいてよかった」と思える判断のひとつです。
創業者自身ありきで業務を回すと、あとで引き継ぎが難しくなり、属人性が高まります。その構造から抜け出すのには、大きなエネルギーが必要になります。初期にそこに注力したことで、今、仮に営業メンバーが増えても現場が回り続ける状態を作ることができました。オペレーション負荷は確かに高まっていますが、「たぶん大丈夫」と言える手応えがあります。
自分自身は「足元の収益をタレントとしての稼働で担保しつつ」、中長期的に企業価値を高めるための取り組みに注力できています。具体的には、現在進めているオウンドメディアのリニューアルや、AIエージェントの開発などがそれにあたります。これらはすぐに収益を生むものではありませんが、今後の事業基盤を強化し、より多くのタレントと企業をつなげていくための重要な布石です。
ここは人によって考え方が分かれるかもしれませんが、私にとって「事業の仕組みを作るための投資」は、起業当初であっても惜しむべきではないコストです。一方で、AIエージェントの開発のような中長期投資こそ、まず自分自身がど真ん中で体感しない限り価値の本質は見えないため、むやみに外注してはいけない領域だと考えています(部分的な外注は必要だと思いますが)。同じように、オウンドメディアの取材・ライティングも、単なる記事制作というより潜在顧客やタレントとの初期接点をつくる重要な対話の場だと位置づけています。そのため、BizDevキャリアのインタビューは、現在も私自身で取材・執筆を続けています。
いよいよ組織っぽくなり、また新たな課題も出てくるだろうとは思いますが、ひとつずつ乗り越えていければと思います。