フワッとした何かを形にする力

市場のリサーチや分析、競合となりえるビジネスモデルの考察など、新規事業の企画フェーズにおいてもAIによってかなり効率的な進行が可能になりました。また、LPやプロトタイプの制作も、STUDIOやWordPress、Notion、bubbleなどのノーコードツールが多く出てきており、初期の仮説検証に必要なWebサイト・LPの制作も、リソースやコストをかなり抑えた形で実行することが可能になってきています。

当社においても、こうしたツールを活用することで、「BizDevアカデミー」のような新サービスを24時間で企画からリリースまで持っていくことが可能になるなど、実際に恩恵を受けています。

一方で、当社のような設立間もない会社に対してであっても、新規事業の企画にかかる相談は常に増え続けているのが実態です。寄せられるご相談の多くが、「こういう方向で新規事業を立ち上げたいと思っているが、何をやるのかまでは決まっていない」というステージのものです。

もちろんこういったアイデア出しの部分もAIが得意とするところではあるのですが、自社の業績や事業の現状、これまで培ってきたアセットや優位性を正しく把握し、それをもとに新規事業のビジネスモデル・サービスモデルを考えるという仕事は、AIは当然のこと、その会社に長く勤める社員の方にとっても非常に難易度が高い仕事だということなのだろうと思います。AIは状況や背景、アセットなどの理解が乏しく、自社の社員は逆に理解しすぎているがゆえに気づけない、あるいは単にリソースや経験不足という状況に多く直面します。

当社が得意とするのは、まさにこのフワッとした何かを形にするプロセスであり、それを可能にするスキル・経験を有する人材が多数所属している点にあります。このプロセスにおいては、客観的なデータやロジックに基づく分析も重要になりますが、結局のところ、担当する社内外含めたチームの熱量に左右される部分が大きくあります。

本日、クライアント企業との打ち合わせで、「努力は夢中に勝てない」と当社に所属するタレントの方がおっしゃっていましたが、まさにその通りだと思います。私自身ははじめて聞く言葉だったのですが、そのあと調べたところ、孔子が言った「知之者不如好之者、好之者不如樂之者(天才は努力する者に勝てず、努力する者は楽しむ者には勝てない)」という言葉に由来するようですね。

新規事業を生み出す時に必要となる初期の課題認識や方向性を決めるところまではある程度ロジカルにできますが、そこで何を打ち手(=新規事業)として選択するかを決める部分には、ある種ロジックを超えた狂気や熱量、思い入れというものが必要になるケースが多々あります。そうしたステージにおいて価値を発揮できるチームでありたいと改めて認識しました。

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