前職を退任して仕事から離れる期間ができたとき、今後について色々と考えました。
せっかくの機会だから何か勉強をしたいと思い、AIについて勉強しようかといくつかのセミナーを受講してみたり、DXパスポートの教材を買って試験の勉強をしたり。そういえば小さい頃は絵を描くのが好きだったことを思い出し、イラストやデザインの勉強をしようと専門学校へ資料請求もしました。
資料請求するとすぐに先方のカウンセラー的な方から電話がかかってきました。
年齢はおいくつですか?―― 43歳です。
今はどんなお仕事をされていますか?―― 無職です。
ご結婚はされていますか?―― 既婚者で子どもが2人います。
デザインの勉強をされたいと思ったのは、どんなきっかけですか?―― 昔から絵を描くのが好きだったので、きちんと勉強してみたいなと思いまして。
いつ頃まで絵を描いてらっしゃったんですか?―― 小学校の時ぐらいまでですね。
それ以降は何も絵の勉強とかはしてないんでしょうか?―― はい、特に何もしてないです。
今回勉強してデザインのお仕事にチャレンジしたい感じですか?―― あー、ちょっとそういう仕事できるといいかもしれないですね。
最近はまったく絵を描いたりはされてないんでしょうか?―― 今は子どもが描いてと言うのでたまに書くようになりました。
どんな絵を描かれるんですか?―― …アンパンマンやバイキンマン。。
だんだん先方のトーンが下がっていき、その後二度と電話は来ませんでした。
まあそんなこともありながら、結局自分はAIやノーコードツールを勉強することに決めて、毎日9時から17時まではPCに向かって数カ月間黙々と作業を続けました。
そのあと、今のtalentalの事業を構想し起業という選択をしましたが、自分の中では起業だけを選択肢としていたわけではなく、正社員・フリーランス・起業あるいはサーチファンドや事業承継のような形もフラットに検討していました。
有難いことに、経験してきた人材やIT領域だけでなく、飲食業や観光業など、これまで経験してこなかった業界でのCxOポジションも友人・知人経由でお声がけいただき、個人的にも結構興味を持ったのですが、あまりにも“飛び地”の領域への挑戦はやはり逡巡する部分がありました。
でも、週1日とか、副業のような形で入るなら自分自身にとっても学びがあるし、むしろ“飛び地”の領域ほど経験の幅が広がるので非常に興味がある。自分の周りにもそういう風に考える人は多いだろうと思い、それをサービス化したのがtalentalという事業です。
タイミーに代表されるスポットワークサービスが、若年層の就職にとっての“お試し期間”としての役割を持っているように、30代~50代のミドルエイジの転職活動にとっても同じような機能が必要だと、自分自身の経験からも痛感しました。
M&Aや事業承継といったテーマでも同じだと思います。
技術進化によるソロプレナーの台頭や中小企業の後継者問題の深刻化という背景を踏まえると、今後小規模M&Aは爆発的に増えてくると思われますが、小規模なM&Aほどマッチングプロセスの問題が生じやすく、ミスマッチになった際のリスクが売り手・買い手双方に存在します。
そこを見据えても、「副業」という切り口でミスマッチを減らすことが、解決策のひとつとして有効なのではないか。
talentalが現在提供しているのは、副業人材のレンタルというスキームを通し、中小企業やスタートアップの事業開発支援を行う部分です。
そこはベースの価値として大事にしつつも、その先に見据えているのは、こうしたミドルエイジの転職や今後増えるであろう小規模M&Aにおいて、双方の“お試し期間”としての機能を果たしていくことです。
ここに向けた取り組みのひとつが、6月にリリースした、副業参画後の転職を支援する「ネクストキャリア」というサービス。起業初年度が終わるまでに、なんとかここまで実現できましたが、目指す世界観を実現するために、今後も取り組みを強化していきたいと思います。