子どもの頃から「マイペース」と言われ続けてきて、今もプライベートではあまり進歩がない気がしますが、仕事の「質」を要素分解するのであれば一番に「スピード」という項目が挙がるくらいにはスピードを大事にしています。
スピードは最初の納品物
Webサイトでも生成AIでも表示やレスポンスの速度が重要であるように、仕事においてスピードは重要なUXといえるかもしれません。
メールやチャットでのレスのスピード、タスクを整理し優先順位をつけるスピード、成果物へ落とし込むスピード、PDCAサイクルを回すスピード。自分自身常に完璧にできているとは言えないものの、常に相手の期待を超えるスピードを提供できるよう心がけてはいます。
「質」を要素分解すればスピードと成果の2つになるのかと思いますが、成果はアンコントローラブルな側面をどうしても内包するからこそ、コントローラブルなスピードには妥協せずにありたい。
変えるべきは、着手のタイミング
この辺りは仕事効率化などのテーマで語り尽くされていますが、まず考えるべきは着手のタイミングではないかと思います。
たとえば、商談から企画書提出までの期限を1週間後に設定する。この「なんとなく」「慣習で」などの理由で納期設定するのがスピードが出ない要因になります。企画書作成にかかる時間を仮に2時間としましょう。結局はその2時間をどのタイミングで取るかだと思うので、そうであれば「この後近くのカフェで作業するので2時間後に提出します」と言ってしまえばいい。先方が「いや、そんな早くなくていいですよ」というのであれば、そこで相手の温度感や緊急度も測れるはずですし、「そんなに早く出していただいて助かります」となれば受注を勝ち取るための武器になるでしょう。
スピードのマイナスを成果でプラスにすることはできない
今度は逆に発注者の視点で考えてみましょう。私自身発注者になったことは何度もありますが、仕事は遅いけど成果は出るという担当者には出会ったことがありません。コンサルでもデザインでもシステムでも同じです。時間は経営にとってもっとも大きなコストですから、そこで発生した損失は施策の失敗よりも大きなものである可能性が高いです。一方でスピードが速ければ、施策の失敗を軌道修正する時間が生まれます。
スピードのマイナスは成果でプラスにはできないけど、成果のマイナスはスピードでプラスにできるということです。
そう考えれば、世の中で語られる「質」においてスピードが非常に重要な要素であることは自明でしょう。
当社で運営している「BizDevキャリア」ではこれまで複数名の方にインタビューしてきましたが、だいたい取材当日に原稿は完成し、その翌日に公開するような感じで進めています。時間がかかった場合でも3営業日以内には完了しています。先述した「なんとなく」の納期設定であれば取材後1週間というのが業界の常識であるような気がしますが、それを無視して前倒しすることで、取材対象者の満足度も多少なりとも上げることができているように思います。まあこれはひとつの例でしかありませんが、変化の激しい時代だからこそ「とりあえず仕事が速い」という評価を積み上げることは価値があると考えています。
プロジェクトの大小に関わらず、あらゆる仕事において、期待値を超えるスピードを出していきたいものです。「大事にする」も「意識する」も少し自分のイメージとニュアンスが違うような気がして、「味方につける」という表現をタイトルにしてみました。うまく乗りこなせば大きな味方になってくれるのが、「スピード」ではないかと思います。