


印象に残るTVCMでもおなじみの「ココナラ」。イラスト制作、動画編集、Web制作、ライティングなどのビジネス系から、占いや悩み相談といったプライベート系まで、740種類以上のカテゴリで多様なサービスが取引されている、日本最大のスキルマーケットです。
この「ココナラ」を運営する株式会社ココナラは、2012年に創業。2021年には東証マザーズ(現:東証グロース)に上場し、現在では「ココナラスキルマーケット」のほかに「ココナラ募集」や「ココナラアシスト」など、多岐にわたるサービスを展開しています。
今回のインタビューでは、そんな「ココナラスキルマーケット」のプロダクト部門を統括する執行役員、竹下 加奈子(たけした かなこ)さんにお話を伺いました。
キャリアの多くを“toC(一般消費者向け)”サービスに注いできた竹下さん。これまでに取り組んできたPdM(プロダクトマネージャー)としての経験、そして2026年3月から新たに担うPoM(プロダクトオペレーションズ)の役割。それぞれに求められる視点について、じっくりと語っていただきました。

2004年、竹下さんはソフトバンク・ヒューマンキャピタルに新卒で入社。転職希望者に対して魅力的なプロモーションを企画・運用することがミッションでした。そこで、当時市場が急拡大していたゲーム業界にフォーカスした企画を立て、集客を成功に導きます。
その後、2008年にはジークレストに転職。ゲーム関連のポータルサイトやソーシャルゲームのプロデューサー、さらに事業責任者として活躍しました。
“toC(一般消費者向け)”サービスは、“toB(企業向け)”に比べて感情に左右される要素が大きく、不確実性が高いという特徴があります。その一方で、届けられるユーザーの数は非常に多い。そうした難しさが、私にとっては大きなやりがいになっています。
転職サイトでのプロモーション企画や、ジークレストで携わったポータルサイトでは、自社サービスを知ってもらい、使ってもらうことがゴールでした。一方、ソーシャルゲームではさらにマネタイズの要素が加わってきます。
事業責任者という立場を通じて、“toC”サービスをどう収益につなげていくかを考えると同時に、リーダーとして組織を率いるマネジメント経験も積むことができました。
2017年には、小売・アパレル業界向けに需要予測を行うAI企業・SENSYへ転職。入社時のポジションはプロデューサーでしたが、気がつけば事業開発担当の執行役員を任され、ここではじめて“toB”の領域へと足を踏み入れました。
全然意図していなかったんですが、当時はまだ人数も少ないスタートアップだったこともあり、気がつけば法人営業やプロジェクトマネージャー、コンサルといった仕事にも携わるようになっていました(笑)。
でも今振り返ると、ここで経営者と直接話す機会が増えたことが、結果的に自身のキャリアにすごく生きていると感じています。“toC”であれ、“toB”であれ、経営的な視点は欠かせませんし、何より、プロダクトをユーザーに届けるためであれば営業も厭わないという覚悟が、この経験を通して身についたと思います。

コロナ禍真っ只中の2020年5月、竹下さんは現在所属する株式会社ココナラへと転職します。「良い意味でのカオスさが魅力だった」と語る同社との出会いを振り返っていただきました。
以前からココナラというサービス自体は知っていたのですが、改めて見てみると、けっこう衝撃を受けたんです。
スタートアップのサービスは、特定の領域に特化して垂直立ち上げしたくなるものだと思っているのですが、「ココナラ」には占いもあれば、コンサルの仕事もある。いわゆる“全張り”しているスキルマーケットなんですよね。
王道からは外れたアプローチかもしれない。だけど、距離や時間、場所や経歴といった制約にとらわれず、誰もがスキルを売り買いできる。そんな世界観に強烈に惹かれて、「中の人に会ってみたい」と思い、応募してみることに。面接で出会ったのが、現社長である鈴木でした。「スキル版のAmazonのような存在になりたい」――そんなビジョンを聞いて、入社を決意しました。
前職、前々職でも事業責任者や執行役員を経験していましたが、あえて役職なしのPdMとして参画させていただきました。

転職サイトにゲーム、AI、そしてスキルマーケット――さまざまなジャンルの“toC(一般消費者向け)”サービスに携わってきた竹下さん。仕事内容も、プランナーやプロデューサー、PdMを軸としながら、必要に応じて法人営業、マネジメント、人事まで幅広く担ってきました。
取り扱うサービスや業界が変わっても、一貫しているのは、プロダクトへの強い愛情を持ち、そのサービスをより多くの人に届けるためであれば、どんな仕事でも厭わずに取り組むという姿勢です。
その姿勢の根底には、どのような想いがあるのか。竹下さんに伺いました。
PdMやプランナー、プロデューサーなど、呼び方はいろいろありますが、大切なのは、自分が担当するサービスやプロダクトを“自分ごと化”できるかどうかだと思っています。
今は生成AIもあるので、必要な知識はそこから得ることもできます。けれど、そのプロダクトを「自分のもの」として本気で向き合う気持ちだけは、人間にしか持ちえない感情だと感じています。
サービスやプロダクトを勝たせるために、必要であればどんな仕事でもやる――それくらいの覚悟が求められる仕事です。
そしてもうひとつ、非常に重要なのが、その会社が目指すビジョンへの共感と“自分ごと化”です。
サービスやプロダクトは、事業の進捗や市場環境によって常に変化していきます。ココナラも、スキルマーケットという祖業を軸にしつつ、現在では10種類もの事業を展開しています。
私は今たまたまスキルマーケットを主に担当していますが、仮に別のサービスに移ることになってもまったく問題はありません。
なぜなら、私が共感しているのは会社が目指すビジョンそのものであり、サービスはあくまでそのビジョンを実現するための“手段”にすぎないからです。

「偶発的キャリア(計画的偶発性理論)」という言葉があります。心理学者ジョン・D・クランボルツ教授が提唱した、「キャリアの約8割は予期せぬ偶然の出来事によって形成される」という考え方で、竹下さんもこの理論をとても大切にしているそうです。
これまでも、そして今この瞬間も、自分のキャリアプランを明確に考えたことはあまりありません。
私は少しオタク気質なところがあって、“推し”のサービスがより多くの人に使ってもらえることが、何よりのやりがいなんです。
そのために必要なことがあれば、どんな手段でも厭わず挑戦したい。その繰り返しが、自然と仕事の幅を広げ、自分の糧にもなってきました。
私にとってキャリアとは、前に描いていくものというより、挑戦を重ねた結果として“うしろ”にできあがっていくもの。そんなふうに捉えています。
そんな考え方のもと、さまざまな仕事に挑戦してきた竹下さん。
そしてこの2026年3月からは、PoM(プロダクトオペレーションマネージャー)という新たなミッションにチャレンジします。
このPoMというポジションは、どのような目的で設置されるに至ったのでしょうか。その背景と狙いについて、最後に伺ってみました。
直近までは、プロダクト担当の執行役員として、事業のP/L責任を持ち、それを実現するための戦略策定が主なミッションでした。
しかし、事業が拡大し、事業が複数に増え、プロダクトに関わる人数も100人を超える規模になってくると、戦略そのものだけでなく、それをいかにスピーディに実行するか、そして組織の力をどう引き出すかが、より重要になってきます。
たとえばココナラでは、共通の会員基盤に対して複数のサービスを提供する構造になっています。だからこそ、ひとつのプロダクトが伸びても、他のプロダクトにネガティブな影響を与えてしまっては意味がありません。
さらに、組織が大きくなるほど、部門間の連携や最適な人員配置、人材確保といった要素が、実行スピードを大きく左右します。
各プロダクトの戦略やロードマップを見据えながら、それを最速で実行可能な組織・オペレーションに落とし込んでいく――それがPoMの役割だと考えています。
これからも、“推し”であるココナラを、より多くの人々に届けていくために。新たな仕事にもどんどんチャレンジしていきたいですね。

竹下 加奈子(たけした かなこ)
株式会社ココナラ 執行役員 VP of Product Operations
早稲田大学法学部を卒業後、2004年にソフトバンク・ヒューマンキャピタル株式会社(現:SBヒューマンキャピタル株式会社)へ新卒で入社。転職サイトの広告運用やプロモーション企画を担当する。2008年、当時サイバーエージェントの子会社だった株式会社ジークレストへ転職。ゲームポータルやソーシャルゲームのプロデューサーとして経験を積んだのち、事業責任者に就任した。2017年には、小売・アパレル業界向けに需要予測を行うAI企業・SENSYへ移り、事業開発領域の執行役員を務める。
2020年に株式会社ココナラに参画し、日本最大級のスキルマーケット「ココナラ」においてプロダクトマネージャー(PdM)を担当。後にプロダクト部門の執行役員へと昇進する。2025年からは人事部長も兼務。さらに2026年3月には、PdMや開発チームの実行プロセスを横断的にマネジメントし、組織開発も担うProduct Operations(Product Ops)組織を立ち上げ、その責任者として新たな挑戦をスタートする。
取材・執筆:武田 直人 / 撮影:山中 基嘉
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