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AIで地域医療の課題解決に挑む――20年の事業開発経験を経て踏み出す新たな一歩

生成AIの進化を背景に、さまざまな産業でAI活用が進むなか、地域医療の現場でも新たな変化が求められています。医師不足や高齢化、医療アクセスの悪化など、多くの課題を抱える地域医療。その課題に対して、AIを活用しながら“医療のあり方そのもの”をアップデートしようとしているのが、株式会社PrimaryTouchです。

2025年4月に同社を共同創業したのは、株式会社オウケイウェイヴ(現:株式会社オーケーウェブ)で約20年にわたり事業開発や経営企画、事業責任者を務めてきた廣川 佳嗣(ひろかわ よしつぐ)さん。独立後に立ち上げたGOOD NARRATIVEでは、BtoBやテック領域を中心に新規事業開発支援を行う一方で、現在は地域医療に特化した医療AI事業の立ち上げにも取り組んでいます。

なぜ今、地域医療というテーマに向き合うのか。長年にわたる事業開発経験を経て見えてきた課題意識や、PrimaryTouchで実現したい未来について話を伺いました。

目次

渋谷×IT×ベンチャーならどこでもよかった

学生時代を奈良県で過ごした廣川さんが、インターネットを通じて出会ったのが、NPO法人ETIC.でした。ETIC.で1カ月間のインターンに参加するために東京へ出た廣川さんは、その際にルームシェアを利用。地方学生が東京で挑戦するうえで、「住む場所」が大きなハードルになることを実感したそうです。

地方の学生が東京でインターンをしようと思っても、まず住む場所に困るんですよね。私自身も東京に出たときにルームシェアを利用して、その経験がすごく大きかった。そこから、地方学生向けにルームシェアを支援するサービスを立ち上げました。

一方で、当時はまだ就職活動を本格的にしていたわけではなかったといいます。ちょうどIT業界が盛り上がり始めていた時代でもあり、「一番成長するなら東京、特に渋谷のITベンチャーじゃないか。渋谷のITベンチャーならどこでも良かった」と振り返ります。

知人のVCの方から紹介された企業リストがアイウエオ順になっていて、その最初のほうにオウケイウェイヴがあったんです(笑)。

当時のオウケイウェイヴは、まだ上場前で、まだ社員数も30人くらいの会社。新卒採用もやっていませんでした。正式な新卒1期生は2008年なので、私はかなり特殊な形で入社したと思います。

2004年、廣川さんはオウケイウェイヴへ入社。ここから約20年にわたるキャリアが始まります。

上場も、事業や組織の浮き沈みも経験した20年

2004年にオウケイウェイヴへ入社した廣川さんは、法人営業からキャリアをスタート。その後、事業開発やアライアンス、経営企画など幅広い領域を経験し、最終的には執行役員として事業全般を統括する立場を担いました。

約20年にわたってひとつの会社に在籍し続けたことで、事業成長だけではなく、組織や外部環境の変化も数多く経験してきたといいます。

ひとつの会社で、上場前からいろいろなフェーズを経験できたのは、結果的によかったと思っています。

事業が伸びる時期もあれば、逆に苦しい時期もある。組織もどんどん変わっていきますし、サービスを取り巻く外部環境も変化していきます。そういうことって、長くいないと見えない部分も大きいんですよね。

そうした経験のなかで、特に廣川さんの中に強く残ったのが、「顧客との継続的な関係性をどう作るか」という視点でした。

オウケイウェイヴは、Q&Aコミュニティを通じて、企業とユーザーのコミュニケーションを支援してきた会社です。まだCRMという言葉が一般化していなかった時代から、単なる問い合わせ対応ではなく、継続的な接点づくりを重視していたといいます。

当時のオウケイウェイヴは、Q&Aというコンテンツを通じて、企業とユーザーとの関係性をどう作っていくかを考えていた会社でした。

単純に問い合わせに答えて終わりというのではなく、企業がユーザーとの継続的なコミュニケーションをどう持ち続けるかを重視し、それ自体をサービスとして提供していました。

現在、PrimaryTouchで取り組む“医療版CRM”の構想にも、その頃の経験がつながっている感覚があると話します。

医療も、本来は診療して終わりではないと思っています。治療後も含めて、患者さんとの接点をどう持ち続けるかが重要です。

そういう意味では、オウケイウェイヴ時代に向き合っていたテーマと、根っこの部分ではかなり近いものがあります。

また、長くひとつの会社に在籍したことで、“事業を自分ごととして捉える感覚”も培われたといいます。

事業責任者や執行役員という立場になると、単純に売上だけではなく、会社全体をどうしていくのかという視点で考えるようになります。

社員という立場ではあるんですが、経営的なアジェンダにも向き合うようになりました。長くいたからこそ、会社への愛着も強かったと思います。

一方で、40代を迎えるなかで、「次のキャリアをどうするか」を考えるようになっていったそうです。

2023年6月、廣川さんは約20年在籍したオウケイウェイヴを退職。その後、個人事業主として独立し、新たな挑戦へ踏み出します。

地域医療は、このままだと持たない

2023年6月にオウケイウェイヴを退職した廣川さんは、個人事業主として独立。「GOOD NARRATIVE」を立ち上げ、BtoBやテック領域を中心に、新規事業開発支援に取り組むようになりました。

複数社の事業開発や経営に関わるなかで出会ったのが、後にPrimaryTouchを共同創業する、社会医療法人清風會 日本原病院 理事長の森崇文氏でした。

森氏は、岡山県津山市で病院や複数のサテライトクリニック、訪問看護などを展開する医療法人の3代目。長年、地域医療の現場に向き合ってきた人物です。

2023年の秋頃、一般社団法人 企業価値協会 代表理事の武井則夫氏を通じて紹介を受け、「医療×AIで何かできないか」というテーマで話したことが、PrimaryTouch立ち上げのきっかけになったといいます。

最初の打ち合わせの段階から、「新しい医療の未来を作れないか」というテーマでかなり意気投合しました。

本当に何も決まっていない状態だったんですが、「じゃあ、やりますか」という感じでスタートしたんです。

実際に地域医療の現場について話を聞くなかで、廣川さんは課題の深刻さを強く実感したといいます。

地域医療の現場は、本当に厳しい状況です。地域経済の縮小に加え、人口減少の問題もあって、医師や看護師、医療事務の採用も難しくなっています。

たとえば、かなり高齢の患者さんが雪の日に車で通院しているようなケースもある。地域によっては、そもそも医療アクセス自体が悪くなっているんですよね。

さらに、診療報酬改定など制度面での逆風も続いており、地域医療を持続可能な形で維持する難易度は年々高まっていると感じたそうです。

森氏とともに北海道や熊本など各地を回るなかで、地域ごとの差はありながらも、「どこでも同じような課題を抱えている」と感じる場面が多かったと振り返ります。

最初は岡山だけの話なのかなとも思っていたんですが、いろいろな地域へ行くと、どこでも似たような課題感がありました。

医療従事者が足りない、患者さんの移動負担が大きい、地域全体が高齢化している。構造的な問題として、全国で起きていると感じたんです。

そうした現場を見ていくなかで、「テクノロジーで解決できる余地があるのではないか」という思いが強くなっていったといいます。

そして2025年4月、地域医療に特化した医療AIスタートアップ株式会社PrimaryTouchを設立。個人としても30%を出資し、本格的に事業立ち上げへ乗り出しました。

“診断”だけでなく、医療のプロセスそのものを変える

2025年4月に設立されたPrimaryTouchは、地域医療に特化した医療AIスタートアップです。

ただ、廣川さんは「医療AI」と聞いて一般的にイメージされるような、“AIによる診断支援”を目指しているわけではないと話します。

PrimaryTouchが取り組もうとしているのは、医療のプロセスそのものを変えていくことです。

もちろん診断支援も重要ですが、私たちが向き合っているのは、もっと手前やその後の部分です。

今の医療は、どうしても「診て、治して終わり」になりやすい。本来は、治療後も含めて患者さんを継続的に支えていく必要があると思っています。

現在、PrimaryTouchでは大きく2つの事業を展開しています。

ひとつは、地域医療向けのAI SaaS事業。もうひとつは、地域医療課題に向き合うソーシャルプロジェクト事業です。災害対応や行政連携などにも取り組みながら、地域医療を支える仕組みづくりを進めています。

AI SaaS事業の中核となるのが、“医療版CRM”ともいえる構想です。

病院やクリニックでは、診療後に患者との接点が途切れてしまうケースも少なくありません。一方で、高齢化が進む地域では、治療後のフォローや継続的なケアの重要性が高まっています。

たとえば、重症化すると医療費は急激に上がります。だからこそ、その前段階で患者さんを継続的に支えることが重要になります。

診療・治療前後の“空白期間”をどう支えるか。そこに対して、テクノロジーでできることはかなりあると思っています。

厚生労働省でも、2040年を見据え、急速な高齢化や人口減少に対応するために、医療提供体制の改革(地域医療構想)において 「治す医療」から「治し支える医療」への転換が進められています。

PrimaryTouchも、そうした流れを見据えながら事業開発を進めているといいます。

また、こうした発想の背景には、オウケイウェイヴ時代に培った“継続的な関係性づくり”の考え方もあると話します。

オウケイウェイヴ時代から、ユーザーとの接点をどう持ち続けるかを考えてきました。

医療も同じで、診療の瞬間だけではなく、その前後も含めて患者さんとの関係性をどう作るかが大事だと思っています。

だから私たちは、“診断AI”ではなく、“医療プロセスを支えるAI”を作ろうとしているのかもしれません。

社会課題に向き合いながら、持続可能な事業をつくりたい

PrimaryTouchでは、まず「地域医療といえばPrimaryTouch」と認知される存在を目指していると廣川さんは話します。

そのために重視しているのが、特定の地域だけで終わらせず、各地でケーススタディを積み重ねていくことです。

まずは、岡山をはじめ、いろいろな地域で実績を作っていきたいと思っています。

地域によって課題の現れ方は違いますが、構造的には共通している部分も多い。ケーススタディを増やしながら、プロダクト自体も磨き込んでいきたいと考えています。

一方で、廣川さんは地域医療という領域に対して、「これから大きく変化していく市場でもある」と感じているといいます。

今までの医療の仕組みだけでは、正直、持続が難しくなってきていると思っています。

だからこそ、外部から新しいプレイヤーが入ってきたり、新しいテクノロジーが活用されたりすることには大きな意味がある。社会的意義も大きい領域ですし、もっと多くの人が挑戦していいテーマだと思っています。

また、自身のキャリアを振り返るなかで、「独立=ひとりでやることではない」とも感じていると話します。

私自身、前職を辞めたあと、転職という選択肢はあまり考えていませんでした。

とはいえ、私と同じように40代になると、「会社を離れるリスク」や「自分でやっていけるのか」といった不安を感じる人も多いと思います。

ただ、独立って、必ずしもひとりでやる必要はないと思うんです。誰かとつながって、一緒に法人を作っていく。そういう選択肢は、もっとあっていいと思っています。

創業初年度を終えたPrimaryTouchの挑戦は、地域医療の新たな可能性を模索しながら、今も続いています。

取材対象者プロフィール

廣川 佳嗣(ひろかわ よしつぐ)
株式会社PrimaryTouch 共同代表
GOOD NARRATIVE 代表

1978年、兵庫県生まれ。2004年より株式会社オウケイウェイヴ(現:株式会社オーケーウェブ)にて、法人営業、事業開発、アライアンス、経営企画など幅広い領域に従事し、事業責任者も務める。2019年、事業構想大学院大学を修了。

2023年に個人事業主として独立し、GOOD NARRATIVEを立ち上げる。主にBtoB事業やテック領域における新規事業開発を多数支援。2025年4月、株式会社PrimaryTouchを設立し、共同代表に就任。 

取材・執筆:武田 直人 / 撮影:山中 基嘉 

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