


資産形成を考えているビジネスパーソンにとって、ベンチャー企業への投資は、高いリターンと社会貢献の両方を実現する魅力的な選択肢の一つです。その際、国が定める「エンジェル税制」を活用することで、投資リスクを大幅に軽減できます。この制度は、創業促進と経済活性化のため、個人投資家による資金提供だけでなく、起業家自身の資金調達も支援しています。本記事では、経済産業省の最新情報に基づき、この制度の基本的な仕組みから、特にメリットの大きい「優遇措置A・B」、設立間もない企業への投資を促す「プレシード・シード特例」、そして「起業特例」の具体的な内容と、事業への活用法を解説します。
エンジェル税制とは、未上場のベンチャー企業(スタートアップ)に資金を提供する個人投資家に対する、税制上の特例措置です。優遇措置を受けられるタイミングは、主に二つに分けられます。
特に、起業家自身が自己資金で設立した企業に対しても、一定の要件を満たせばこの優遇措置の適用対象となる「起業特例」が設けられています。これは、起業家が再投資や資金調達を容易に行えるよう後押しするものです。
株式を取得した年に適用される優遇措置には、優遇措置A、優遇措置B、そしてプレシード・シード特例の3種類があり、それぞれ適用対象となる企業の設立年数や投資家の状況が異なります。
| 優遇措置 | 適用対象企業(設立年数) | 控除対象 | 控除額の計算(投資した年) |
| 優遇措置A | 設立5年未満の企業 | 総所得金額 | (投資額ー2,000円)を総所得金額から控除(上限:総所得金額の40% または 800万円のいずれか低い額) |
| 優遇措置B | 設立10年未満の企業 | 株式譲渡益 | 投資額全額を、その年の株式譲渡益から控除(上限なし) |
| プレシード・シード特例 | 設立2年未満の企業 | 総所得金額 | 優遇措置Aと同様に控除(上限なし) |
優遇措置Aは、主に給与所得が多いビジネスパーソン向けです。優遇措置Bは、株式譲渡益がある方向けに設計されています。プレシード・シード特例は、設立2年未満の企業が対象(経済産業省の確認が必要)であり、優遇措置Aと同様の控除を上限なしで受けられる点が最大のメリットです。
エンジェル税制は、第三者からの投資だけでなく、起業家自身が自己資金で設立した企業への投資についても、一定の条件のもとで優遇措置を認めています。「起業特例」は、起業家が株式などを譲渡した資金を、自身が設立する特定新規中小会社(ベンチャー企業)の株式取得に再投資した場合に、その株式譲渡益への課税を繰り延べられる措置です。
この特例は、将来的に起業を目指すビジネスパーソンが、過去の資産形成の成果を活かしてスムーズに新規事業を立ち上げられるよう、税制面で強力に支援するものです。
エンジェル税制は、企業の成長によるリターンだけでなく、万が一の損失に備えるための優遇措置も提供しています。
これらの措置は、ベンチャー投資や起業に伴うハイリスクな側面をカバーするためのセーフティネットとして機能し、事業開発人材が安心してイノベーションに挑戦できる環境を整えています。
エンジェル税制、特に起業特例やシード特例は、事業開発(BizDev)人材にとって、未来の事業創造に参画するパスポートとなるでしょう。事業開発を担う方は、この制度を二つの面から戦略的に活用すべきです。
エンジェル税制は、単なる税制優遇ではなく、リスクをコントロールしつつ、イノベーションのエコシステムの一員として深く関与するための強力なツールです。
参考:経済産業省「エンジェル税制」
本記事では、経済産業省の情報を基に、エンジェル税制の基本的な優遇措置(A・B)、初期投資を促すプレシード・シード特例、そして起業特例の仕組みを詳しく解説しました。この制度は、投資リスクの軽減、節税効果、そして万が一の損失へのセーフティネットを提供します。事業開発を担うビジネスパーソンにとって、この制度は、日本の未来を担うスタートアップを支援し、同時に自己成長と資産形成、そして起業の可能性を拓く、重要な戦略的ツールであることを理解し、積極的に活用してください。
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