創業1年で上場企業にグループインした背景

昨日発表の通り、talental株式会社は株式会社エージェントとのM&Aに合意し、本日10月21日付で同社の連結子会社としてグループインすることとなりました。

変革の火種を、より大きなものに

当社の企業理念は、「変革を起こす、火種となる」というものです。

インターネット、SNS、そしてAIをはじめとした技術進化によって、情報流通のスピードは飛躍的に速くなり、サービス作りそのもののハードルは年々下がっています(逆にハードルが上がっている部分も多々あるのですが)。そうした時代に必要とされるのが、新たな事業を生み出し、社会に届けていくBizDevという仕事であると、心の底から思っています。

一方、そうしたBizDevの採用というのは、決して簡単ではありません。業種や企業規模、事業のステージが変われば求める人材要件も変わる。労働人口減少と雇用形態の多様化という時代背景も相まって、もう正社員採用ですべてを解決できる時代ではありません。

BizDev人材のレンタルサービス「talental」は、そうした時代背景を踏まえ、「企業が優秀なBizDev人材を、必要なときに必要なだけレンタルできるようにしたい」という考えのもと生まれたものです。働き手側から見れば、さまざまな企業の新規事業開発を体験することで、自身の知見や思考の幅をより広げることが可能になります。

このサービスの起案者である私自身も、「優秀なBizDev人材」に該当するかどうかはさておき、登録者(タレント)のひとりとして複数の企業にレンタルされており、それを実感しています。

当社は2024年9月に登記し、本格的な営業開始は10月という、まだ創業1年の会社ですが、こうした理念に共感してくれる数百名のBizDevのみなさんが集うコミュニティとなりました。

クライアント、そしてご登録いただくタレントのみなさん、そして関係者のお力添えもあり、足元の業績は小さいながらも堅調ではあります。しかしながら、この延長線上では、これをより多くの企業に届けていくには時間を要するということも感じています。もっと速く、もっと大きなうねりを生み出していきたい。

今回のグループインにより、エージェント社の持つアセットを活用し、この小さな「talental」という火種をより大きなものへと育てていきたいと思っています。

Still Day One

創業時のブログでも「Day One」ということばについて書きました。Amazonの社是ともいえるこのことばを、私自身もすごく大事にしています(特にAmazon社で働いてたとかではないのですが…)。

今回の件は、業界用語でいえばExitと呼ばれる類のものに該当することは否定しませんが、私にとっては「Exit(出口)」ではなく「入口」ともいえるものです。

人材をレンタルするというtalentalのサービスは、それ単体では本来実現したい価値の半分程度しか意味を持ちません。

レンタルという期間を通して人と企業がお互いを理解し事業を共創するのが「前半」とも呼べるプロセスであり、むしろその出会いの先にもたらされる「後半」のプロセスにこそより大きな意味があります。現時点では詳細は伏せますが、この「後半」に該当するサービスを拡充していくことを、設立時の事業計画でも明確に折り込んでいます。そして、それを実現するための核となるのが、優秀なBizDev人材のコミュニティです。

2034年までにソーシャルビジネス300事業の創出をビジョンに掲げるエージェント社のアセットと、当社に所属する数百名のBizDev人材が融合することで、それを一緒に実現していければと思っています。

そういう意味において、talentalという事業は、まだゼロイチさえ成していません。Day Oneのことば通り、今日がまさに新たなはじまりの日です。

ビジネスモデルが陳腐化しても残るもの

今回のプロセスを通して、エージェント社の経営陣のみなさんともたくさん会話させていただきました。お話しするなかで感じたのは、代表の四宮さんをはじめ、事業について議論するのがとにかく好きなんだなということでした。年齢や役職に忖度なく、フラットに「べき論」を語り合える仲間は、私にとっても非常に魅力的な存在です。

ソフトバンクグループの孫正義氏が、2010年に発表した「新30年ビジョン」のなかで、「私が発明したのはビジネスモデルや商品・サービスではなく、300年続く企業カルチャーや組織である」という主旨のことを語られています。

おこがましいのは重々承知のうえですが、当社にとっても大事なのは現在のビジネスモデルではなく、たとえ現在のビジネスモデルが陳腐化したとしても、常に変化し続けることができるBizDev人材のコミュニティと、常に新たな事業を生み出し続ける組織カルチャーだと考えています。

エージェント社とともに、それを作っていけることを、うれしく思います。

当社の新たなDay Oneにご期待ください。

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