新規事業のネーミングはどうするべきか

新たに事業やサービスを開始する際、あるいはそれと同時に新法人を設立する際、悩ましいのがネーミングの問題です。

当社では新法人設立と新サービス開始という2つを同時に行った形ですが、そのプロセスを振り返りつつ、ネーミングの考え方をおさらいしておきたいと思います。

ここに関しては色々な意見があると思いますし、結局のところどんな名前であれサービスが大きくなればそれが正解になると思ってはいますが、ひとつの見解として。

会社名とサービス名は同じであるべきか

今後異なるブランドで複数サービスを展開することが決まっていない場合においては、会社名とサービス名は同じであるべきと考えています。この2つが異なると認知獲得においてもコストの重複が発生するため、単一のブランドで統一するのが好ましいと思います。

会社名は前株か後株か

いったん会社名とサービス名を同じにしようと決めた後で悩んだのがここです。法律的にはどちらでも良いとのことですが、自分の場合は検索エンジンやSNSで表示された際の視認性を考慮し、後株を選択しました。

あまり詳しい事情は知りませんが、古巣のソフトバンクグループも買収した会社を除きほぼ後株になっているので、自分自身それがしっくり来たというのもあります。

サービス名を考える際に注意すべきアンチパターン

ここまででいったん会社名とサービス名を同じにすることと、会社名を後株にすることが決まりました。そのうえでサービス名を考えていきます。

サービス名を考える際の正解はなかなか難しいですが、逆にダメなパターンを考え、それを避けるようにしてみましょう。

1. 検索競合が多い

割と多いのが、このパターンです。一般的な名称をつけたり、抽象度が高すぎる名称をつけると、同じサービス名がたくさん検索エンジンに表示されて埋もれてしまう、ということが結構あります。サービス開始後にサービス名称でのSEO合戦に参加するハメになってしまうので、できれば避けたい戦いです。大文字・小文字・カナ表記など複数の表記パターンでチェックしておくと安全かと思います。もちろん商標チェックはマストです。

2. 読みにくい、聞き取りにくい

先日YouTubeで見ていた何かの番組でも似た話があったのですが、フランス語で●●の意味を持つ言葉をサービス名にした、みたいなケースです。別にフランス語を否定するわけではないですが、とにかく読みにくい・聞き取りにくいサービス名はBtoC、BtoBともに避けるべきでしょう。濁点が多すぎる単語も、聞き取りにくさを増長してしまうので、避けたほうが良いかもしれません。たとえばBtoBのサービスでテレアポによる営業活動を主戦略に置いているサービスなのであれば、一度電話で聞き取りやすいかどうかを検証すべきと思います。

3. サービス内容が想起できない

ここは意見が割れそうなところですが、理想はサービス名を聞いたときにサービス内容が想起されることかと思っています。もちろんAmazonやAppleはそれとはまったく異なるアプローチですので、そうではなくても大きくなったサービスもたくさんありますが、王道はやはりシンプルにサービス内容が伝わるものが良いかと考えています。

4. 拡張性がない

先述したサービス内容のわかりやすさを重視しすぎた結果、事業の拡張性を自ら制限してしまうケースです。たとえば、人事労務・タレントマネジメントSaaSとして拡大したSmartHRも、当初は「社保くん」という名前にすべき議論があったそうです。たしかにわかりやすいですが、このネーミングでスタートしていたら、今のような事業拡大は実現していなかったのでは?という気もします。

後戻りできないからこそ、しっかり考えたい

もちろんリリース後に変更することも可能ですが、ブランドチェンジにはコストも手間もかかるので、変更せずに済むに越したことはありません。

talentalという会社名・サービス名を考えるときには、上記のような思考プロセスを経て、iPhoneのメモ機能を使って毎日歩きながら30個ぐらいネーミング案を出し、その中から決めました。今のところ、社名を聞いただけでなんとなくコンセプトをわかってくれる方が大半なので、そんなに悪くないネーミングかな?とは思っています。

ただ一点、会社名もロゴも「タレンタル」とカタカナ表記にするのが正解だったかも…ということだけは、今もまだ悩み続けています。

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