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スタートアップがBizDev人材を確保する方法 フェーズ別の任せ方と、正社員化までの道筋

公開日 更新日 スタートアップの経営者向け

事業開発を担える人がほしいが、正社員で採るには事業の形がまだ動く。かといって、代表が全部を抱えたままでは検証が進まない。スタートアップのBizDev人材の確保は、採用か外注かという二択ではなく、どの段階で誰と一緒に考えるかの問題です。フェーズ別の任せ方と、正社員化までの道筋を整理します。

調査時点:2026年9月26日/調査データは自社調査および自社の登録者データにもとづきます。

この記事の結論

  • 正社員の採用を急ぐ前に、業務委託で一緒に働いてから判断する順序が現実的です。事業の形がまだ変わる段階で人を固定すると、事業が変わったときに役割のほうが合わなくなります。
  • 報酬で大手と競う必要はありません。副業人材が重視する点の1位は「柔軟な働き方」で49.5%、報酬は38.1%で2位です。裁量の大きさと代表との距離の近さは、規模が小さいほどつくりやすいものです。
  • 任せる範囲はフェーズで変えます。検証段階では仮説の検証そのものを、型づくりの段階では売り方の設計を、拡大段階では新しいチャネルや提携を任せる形が噛み合います。

スタートアップの事業開発が中小企業と違う点

外部人材を活用するという点では中小企業と共通しますが、前提となる制約が異なります。同じやり方をそのまま持ち込むと噛み合いません。

観点 中小企業 スタートアップ
事業の変化速度 既存事業が安定しており、新規事業が別枠で動く 主力事業そのものが変わる。任せる範囲も動く
時間の制約 経営者が兼務していて時間が取れない 資金の残り期間が決まっており、締め切りがある
報酬の手段 現金報酬が中心 株式報酬という手段があるが、業務委託には使いにくい
求める経験 事業開発の進め方を知っている経験者 同じ段階を通ったことがある経験者

とくに重いのが1つ目です。中小企業では新規事業が既存事業と別枠で動くため、任せる範囲を決めたら比較的そのまま進みます。スタートアップでは事業そのものが変わるため、3カ月前に決めた役割が合わなくなることが起こります。役割を細かく固定するより、誰と一緒に考えるかを確保しておくほうが実態に合います。

契約書に業務範囲を書くときは、具体的な作業の列挙だけで終えず、「事業の状況に応じて双方協議のうえ見直す」という前提を入れておく。範囲が動くことを織り込んでおくほうが、あとで揉めません。

専任を置けない制約が主な論点の場合は「中小企業が事業開発を外部人材と進める方法」へ →

フェーズ別:何を任せるか

同じ「事業開発を任せる」でも、事業の段階によって任せるべき範囲は変わります。ここでは資金調達のラウンド名ではなく、事業の状態で区切っています。調達していない会社でも当てはめられるようにするためです。

1. 検証段階(プロダクトが固まる前)

任せるもの:仮説を検証する作業そのもの

顧客インタビューの設計と実施、想定顧客への接触、初期の提携候補の洗い出しが中心になります。この段階で営業組織をつくろうとしても、売るものが動くため無駄になります。代表と同じ解像度で話せる相手が1人いるかどうかで、検証の速度が変わります。

2. 型づくりの段階(初期の売上が立ち始めた後)

任せるもの:売れた理由を再現できる形にすること

営業プロセスの設計、提案資料の型づくり、初期の採用要件の言語化を任せます。ここは経験者と未経験者で差が最も大きく出る領域です。自分で売った経験がない人が型だけつくっても、現場で使われないものになります。実際に売った経験がある人に、売りながら設計してもらう形が噛み合います。

3. 拡大段階

任せるもの:既存の売り方とは別の線を引くこと

既存の売り方が回り始めた後、次のチャネルや提携を探す段階です。社内のメンバーは既存の伸ばし方に集中しているため、別の線を引く役割を外部に置くと進みます。2本目の事業の立ち上げも同じ構造です。

フェーズが変わったら、任せる範囲も見直します。検証段階で頼りになった人が拡大段階でも同じように効くとは限りません。人を替えるという意味ではなく、期待する役割を言い直すということです。

フェーズ別に求める経験の違いと見極め方は「BizDev(事業開発)人材を外部から確保する方法」へ →

スタートアップが外部人材に選ばれる条件

報酬で大手と競うのは簡単ではありません。ただし、副業人材が仕事を選ぶ基準を見ると、報酬以外の項目が上位に並んでいます。

順位 副業の働き方や条件で重視する点 回答率 スタートアップの相性
1位 自由な勤務時間・柔軟な働き方ができること 49.5% 用意できる
2位 高い報酬・時給であること 38.1% 競いにくい
3位 自身の興味や専門スキルを活かせる内容であること 35.8% 用意できる
4位 本業の就業時間外にできること 30.3% 用意できる
5位 フルリモートでできること 25.2% 用意できる

出所:talental株式会社「ミドル・ハイクラス人材の副業に関する意識・実態調査」(2025年3月、年収600万円以上で直近1年以内に副業を実施している218名、複数回答)

報酬以外の4項目は、いずれもスタートアップでも用意できる条件です。加えて、同じ調査では役職が上の層ほど副業をしていることがわかっています。

50.0%

取締役・CxOクラスのうち、現在(直近1年以内)副業をしていると回答した人の割合。部長・次長クラスは39.0%、課長・主任クラスは23.2%、メンバークラスは15.9%でした。出所:talental株式会社「ミドル・ハイクラス人材の副業に関する意識・実態調査」(2025年3月、年収600万円以上のビジネスパーソン n=1,117)

意思決定に関わってきた人ほど、自分の判断が事業に直接反映される環境を選びます。代表と直接やりとりでき、決めたことがその週に動く状態は、規模が小さいほどつくりやすいものです。募集や面談では、報酬の金額より「何を任せるか」と「どこまで決めていいか」を先に伝えてください。

どんな人が登録しているか

talentalの登録者データ(2026年9月26日時点)では、経験ポジションと働き方は次のようになっています。

  • 経験ポジションは「取締役・CXOクラス」が45.8%、「部長・次長クラス」が22.5%で、部長・次長クラス以上が68.3%を占めます。
  • 働き方は「フリーランス・個人事業主」が42.8%、「経営者」が24.5%、「会社員」が29.7%です。
  • 希望する稼働時間は「月10〜50時間未満」が39.0%で最多。「内容により応相談」が25.7%と続きます。

経営者と取締役・CxOクラスを合わせると、事業の意思決定を担ってきた層が厚い構成です。スタートアップが求めるのは作業の担い手より、同じ段階を通ったことがある相手であることが多いため、この層の厚みがそのまま使えます。

年代や稼働時間まで含めた集計は「データで見るBizDev副業・プロ人材」へ →

業務委託から正社員への切り替え

BizDev人材は、経歴書だけでは見極めが難しい職種です。事業を伸ばした実績があっても、それが本人の力によるものか、事業そのものの伸びによるものかは、履歴からは判別できません。そのため、業務委託の期間を見極めの期間として使う形が合理的です。

切り替えを前提にするなら、開始時に次の3つを決めておいてください。

STEP 1 いつ判断するか

3カ月後か、資金調達の前後か。期限を決めておかないと判断が先送りされ、見極めのつもりだった期間がそのまま既成事実になります。

STEP 2 何を見て判断するか

成果物の量ではなく、判断の質を見ます。想定と違う結果が出たときにどう動いたかが、最も参考になる材料です。

STEP 3 切り替えの条件

稼働の増やし方、報酬の考え方、株式報酬の扱いを先に握っておきます。あとから相談すると、条件交渉が関係そのものをこじらせます。

本人が正社員を希望しない場合もあります。その場合でも、稼働時間を増やす、担当範囲を広げるという形で関係は深められます。雇用の形にこだわらず、事業に必要な関与の度合いから逆算してください。

副業・業務委託の接点から採用につなげる方法は「転職潜在層に採用でリーチする方法」へ →

社内の受け皿は「代表が窓口」でつくる

スタートアップの場合、代表が窓口になるのが最も速い形です。決裁が速く、合議で止まらないことは、外部人材にとって価値そのものです。関係部署を回って承認を集める必要がなく、その場で方針が決まる会社は、短い稼働でも前に進みます。

ただし代表が多忙で定例に出られない状態が続くと、稼働時間の多くが判断待ちに消えます。週1回、短くても必ず話す時間を確保してください。検証段階ではとくに、判断の速度がそのまま進捗の速度になります。

あわせて、検証の結果や意思決定の理由を社内の共有場所に残す運用にしておくと、契約が終わったあとに何も残らない事態を避けられます。人数が少ないうちほど、記録は後回しになりがちです。

talentalの位置づけ

talentalは、BizDev(事業開発)領域の実務経験者に特化した、エージェント型の業務委託サービスです。月1時間から契約でき、任せる内容が固まっていない段階から相談できるため、事業の形がまだ動くスタートアップでも始めやすい形になっています。

料金

月50,000円〜

希望時給×稼働時間×管理費。初期費用はかかりません。

稼働

月1時間〜

最低契約期間は3カ月〜。

契約の切り替え

業務委託(直接契約)へ

一律120万円

雇用契約へ

理論年収の40%

向いているのは、検証したいテーマが1つ決まっていて、代表が窓口になれる場合です。実務を毎日担う人手が必要な場合や、常駐に近い稼働を求める場合は、別の方法のほうが合っています。

talentalのサービス詳細を見る →

よくある質問

スタートアップでも、経験のあるBizDev人材に来てもらえますか?

来てもらえる可能性はあります。talentalの調査では、副業の働き方や条件で重視する点の1位は「自由な勤務時間・柔軟な働き方ができること」で49.5%、「高い報酬・時給であること」は38.1%で2位でした。報酬以外の条件はスタートアップでも用意できます。また同じ調査では、取締役・CxOクラスの50.0%が現在副業をしていると回答しており、経営の経験がある層ほど社外で力を使っています。判断が事業に直接反映される環境は、規模が小さいほどつくりやすいものです。

資金が限られています。いくらから始められますか?

talentalの場合は月50,000円から、月1時間の稼働から契約できます。料金は希望時給×稼働時間×管理費で決まり、初期費用はかかりません。最低契約期間は3カ月からです。talentalの登録者データでも、希望する稼働時間は月10〜50時間未満が39.0%で最も多い帯でした。資金が限られている段階では、稼働時間を削るよりも任せるテーマを1つに絞るほうが効きます。同じ時間でも複数のテーマに分散すると、どれも判断材料が揃わないまま期間が終わります。

業務委託から正社員になってもらうことはできますか?

できます。BizDev人材は経歴書だけでは見極めが難しいため、業務委託の期間を見極めの期間として使う形が合理的です。talentalでは契約の切り替え条件を公開しており、雇用契約に切り替える場合は理論年収の40%、業務委託の直接契約に切り替える場合は一律120万円としています。切り替えを前提にするなら、いつ判断するか、何を見て判断するかを最初に決めておいてください。なお本人が正社員を希望しない場合もあります。その場合も、稼働時間を増やす、担当範囲を広げるという形で関係を深められます。

ストックオプションは業務委託の人にも出せますか?

社外の協力者に対して新株予約権を発行する方法はありますが、対象者の要件や税制上の扱いは条件によって変わります。設計を誤ると想定した税制の適用を受けられない場合があるため、具体的な設計は弁護士・税理士にご確認ください。実務では、まず業務委託として現金報酬で始め、正社員への切り替えや長期の関与が固まった段階で株式報酬を検討する順序が取られることが多いです。

CxO候補を業務委託で探すことはできますか?

探せます。talentalの登録者(2026年9月26日時点)では、経験ポジションが「取締役・CXOクラス」の人が45.8%、働き方が「経営者」の人が24.5%で、事業の意思決定を担ってきた層が中心です。ただしCxOは事業の方向性そのものを預ける役割のため、経歴だけで決めるのは難しい職種です。まず業務委託で一定期間一緒に働き、想定と違う結果が出たときにどう動くかを見てから判断することをおすすめします。

出典・調査時点

本記事のデータは、2026年9月26日時点で確認できた自社調査および自社の登録者データにもとづきます。フェーズ別の任せ方についての整理は一般的な傾向をまとめたもので、個別の事業や契約条件によって異なります。株式報酬の設計や税制上の扱いは条件によって変わるため、導入にあたっては弁護士・税理士にご確認ください。

黄 千尋

EDITOR

この記事の編集

黄 千尋こう ちひろ

talental ディレクター

2015年よりフリーランスのライター・編集ディレクター・広報として活動し、2024年9月にtalentalへ参画。タレントのサポートを担当しながら、外部人材の活用に関するガイドの編集を担当している。