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中小企業が事業開発を外部人材と進める方法 専任を置けない前提での体制づくり

公開日 更新日 中小企業の経営者向け

新しい事業を立ち上げたいが、社内に専任を置く余裕がない。経営者が兼務したまま、構想が何年も動かない。中小企業の事業開発は、人手の問題だけでなく「社内だけで考えている」ことでも止まります。専任を置けない前提で、外部人材とどう進めるかを整理します。

調査時点:2026年9月16日/調査データは自社調査および各調査機関の公表資料にもとづきます。

この記事の結論

  • 中小企業の事業開発が止まる原因は人手不足だけではありません。社内と同じ業界の中だけで考えているため、自社の価値や市場の見え方が固定されることも同じくらい大きな要因です。
  • 報酬で大企業と競う必要はありません。副業人材が重視する点の1位は「柔軟な働き方」、報酬は2位です。裁量の大きさと経営者との距離の近さは、中小企業のほうがつくりやすいものです。
  • 始め方は、テーマを1つに絞り、月20〜30時間から、3カ月後の判断材料を決めて始めることです。専任を置けなくても、経営者が窓口になれば体制は成立します。

中小企業の事業開発が進まない3つの構造

やる気や能力の問題ではなく、中小企業という条件から生まれる構造的な理由があります。大きく3つです。

1. 経営者が事業開発を兼務している

中小企業では、新しい事業を考える役割が経営者に集まりがちです。日常の営業・資金繰り・人の問題と兼務しているため、まとまった時間が取れず、構想のまま止まります。

2. 専任を置くと固定費が重い

事業開発の専任を1人採用すると、年間で数百万円規模の固定費になります。成果が出るか分からない段階でこれを背負うのは、体力のある会社でも簡単ではありません。

3. 社内に前例がなく、進め方を知っている人がいない

既存事業を回す力と、ゼロから事業を立ち上げる力は別物です。社内に経験者がいないと、何から着手し、どこで判断するのかが分からないまま時間が過ぎます。

3つとも、「社内に人を増やす」以外の方法で緩められます。外部人材が使われるのは、固定費を増やさずにこの3つに同時に効くためです。

採用・業務委託・コンサルなど方法そのものの比較は「新規事業を外部人材に任せる方法の比較」へ →

なぜ「社外の視点」が効くのか

中小企業の事業開発で外部人材が効くのは、手が足りないからだけではありません。社内と同じ業界の中だけで考えていると、自社の価値や市場の見え方が固定されてしまうためです。長く続いている会社ほど、自社の強みが「やって当たり前のこと」になり、価値として認識されなくなります。

中堅・中小企業の価値を発見し、発信する支援を続けている一般社団法人企業価値協会の武井則夫さんは、外部の視点の重要性をこう話しています。

同じ会社や同じ業界の中にいると、どうしても思考の枠ができてしまいます。だからこそ、別の視点で捉え直すことが必要です。昔から「ヨソモノ・バカモノ・ワカモノ」と言いますが、特に「ヨソモノ」の視点はとても大切だと思います。

外部の人材や異なる分野の人と接することで、自社をメタ認知できる環境が生まれます。多面的にものを見ることで、自分たちだけでは気づけなかった価値や、誰も見ていなかった市場が見えてくることもあるのです。

武井 則夫 一般社団法人企業価値協会 代表理事
出典:月刊タレンタル「中堅・中小企業が次の価値を生み出すために。「枠の外」に目を向けるという選択」 →

外部人材に期待する役割を「足りない手を埋めること」だけに置くと、この効果は出ません。自社の当たり前を疑う質問をしてもらうことも、依頼する目的に入れてください。最初の1カ月で「なぜそうしているのか」と何度も聞かれるのは、うまくいっている兆候です。

中小企業が外部人材に選ばれる条件

「うちの規模では、良い人材に来てもらえない」という声をよく聞きます。しかし実際には、役職が上の人ほど副業をしています。

50.0%

取締役・CxOクラスのうち、現在(直近1年以内)副業をしていると回答した人の割合。部長・次長クラスは39.0%、課長・主任クラスは23.2%、メンバークラスは15.9%でした。出所:talental株式会社「ミドル・ハイクラス人材の副業に関する意識・実態調査」(2025年3月、年収600万円以上のビジネスパーソン n=1,117)

経営の経験がある人ほど、本業以外の場で力を使っています。中小企業が事業開発を任せたい相手は、まさにこの層です。

そのうえで、副業人材が仕事を選ぶ基準を見ると、報酬は1番目ではありません。

順位 副業の働き方や条件で重視する点 回答率 中小企業の相性
1位 自由な勤務時間・柔軟な働き方ができること 49.5% 中小企業でも用意できる
2位 高い報酬・時給であること 38.1% 大企業と競いにくい
3位 自身の興味や専門スキルを活かせる内容であること 35.8% 中小企業でも用意できる
4位 本業の就業時間外にできること 30.3% 中小企業でも用意できる
5位 フルリモートでできること 25.2% 中小企業でも用意できる

出所:talental株式会社「ミドル・ハイクラス人材の副業に関する意識・実態調査」(2025年3月、年収600万円以上で直近1年以内に副業を実施している218名、複数回答)

報酬(2位)以外は、すべて中小企業でも用意できる条件です。経営者と直接やりとりでき、任せる範囲が広く、自分の判断がそのまま事業に反映される。大企業では何層もの承認を経る必要があることが、中小企業ではその場で決まります。勤務時間の柔軟さやリモートの可否も、規模の大小ではなく決め方の問題です。ここを言葉にして伝えられるかどうかが分かれ目になります。

募集や面談では、報酬の金額より「何を任せるか」と「どこまで決めていいか」を先に伝える。中小企業が用意できる価値はそこにあります。

地域に人材がいなくても、接点はつくれる

61.0%

副業先を見つけた方法として「副業マッチングプラットフォームを利用して」を挙げた人の割合。1位でした。2位は「SNSを通じたオファー」33.9%、3位は「知人や人脈の紹介」33.5%です。出所:talental株式会社「ミドル・ハイクラス人材の副業に関する意識・実態調査」(2025年3月、n=218、複数回答)

人脈や地元での採用に頼らなくても、接点をつくれる状況になっています。業務委託はリモートを前提に組み立てられるため、勤務地の制約も雇用より小さくなります。ただし現地での商談同席が多い業務は、稼働の形を契約前に決めておいてください。

専任を置けない前提での始め方

体制を整えてから始めようとすると、いつまでも始まりません。中小企業では、小さく始めて判断を早くするほうが現実的です。3つの手順で足ります。

STEP 1 テーマを1つに絞る

新規事業・販路拡大・採用・DXをまとめて相談したくなりますが、最初は1つです。絞れないうちは、何を任せたのかが誰にも分からなくなります。

STEP 2 月20〜30時間から始める

副業に充てている時間は「月20時間以上30時間未満」が34.4%で最多でした。いきなり常駐に近い形を求めず、経験者の判断が効く部分から任せます。

STEP 3 3カ月後の判断材料を決めておく

「提携候補20社のリストと、接触した5社の反応」のように、3カ月後に手元にあるものを先に決めます。続けるか終えるかを、印象ではなく材料で判断するためです。

稼働の規模感は、月20時間以上30時間未満が34.4%で最も多い帯です(talental調査、n=218)。talentalの登録者データでも、希望する稼働時間は月10〜50時間が最も多い帯でした。

社内の受け皿は「経営者が窓口」で足りる

外部人材を受け入れるには社内に担当者が必要、と考えて止まってしまうケースがあります。中小企業の場合、経営者自身が窓口になるのがいちばん速い形です。

これは妥協ではなく、中小企業の強みです。決裁が速く、合議で止まらないこと自体が、外部人材にとっては大きな価値になります。関係部署を回って承認を集める必要がなく、その場で方針が決まる会社は、短い稼働でも前に進みます。

ただし、経営者が忙しくて定例に出られない状態が続くと、稼働時間の多くが判断待ちに消えます。月1〜2回、短くても必ず話す時間を確保してください。

あわせて、議事録や検証の結果を社内の共有場所に残す運用にしておくと、契約が終わったあとに何も残らない事態を避けられます。専任を置けないぶん、記録で補う形です。

talentalの位置づけ

talentalは、BizDev(事業開発)領域の実務経験者に特化した、エージェント型の業務委託サービスです。月1時間から契約でき、任せる内容が固まっていない段階から相談できるため、専任を置けない規模の会社でも始めやすい形になっています。

料金

月50,000円〜

希望時給×稼働時間×管理費。初期費用はかかりません。

稼働

月1時間〜

最低契約期間は3カ月〜。

契約の切り替え

業務委託(直接契約)へ

一律120万円

雇用契約へ

理論年収の40%

向いているのは、事業開発のテーマが1つ決まっていて、経営者が窓口になれる場合です。実務を毎日担う人手が必要な場合や、公的な支援制度の利用が前提の場合は、別の方法のほうが合っています。

talentalのサービス詳細を見る →

よくある質問

中小企業でも事業開発の外部人材に依頼できますか?

依頼できます。中小企業で現実的なのは、専任を採用するのではなく、経験者に月20〜30時間程度の業務委託で入ってもらう形です。talentalの登録者データでも、希望する稼働時間は月10〜50時間が最も多い帯でした。固定費を増やさずに始められるため、成果が見えなければ終えるという判断もしやすくなります。費用の目安は契約形態によって変わります。

地方の中小企業ですが、人材は見つかりますか?

見つかる可能性はあります。talentalの調査では、副業先を見つけた方法の1位は「副業マッチングサービス」で61.0%でした。人脈や地元での採用に頼らなくても接点をつくれる状況になっています。業務委託はリモートを前提に組み立てられるため、勤務地の制約も雇用より小さくなります。ただし現地での商談同席が多い業務は、稼働の形を事前に決めておく必要があります。

報酬で大企業に勝てないのですが、選んでもらえますか?

報酬以外で選ばれる余地があります。talentalの調査では、副業の働き方や条件で重視する点の1位は「自由な勤務時間・柔軟な働き方ができること」で49.5%、「高い報酬・時給であること」は38.1%で2位、「自身の興味や専門スキルを活かせる内容であること」が35.8%で3位でした。報酬以外はいずれも中小企業でも用意できる条件です。経営者と直接やりとりでき、任せる範囲が広く、自分の判断が事業に反映される状態は、規模の小さい会社のほうがつくりやすいものです。また同調査では、取締役・CxOクラスの50.0%が現在副業をしていると回答しており、経営の経験がある層ほど社外で力を使っています。

専任の担当者を社内に置けないのですが、大丈夫ですか?

経営者自身が窓口になれば始められます。中小企業の強みは、決裁が速く、合議で止まらないことです。外部人材にとっては、判断がその場で返ってくること自体が価値になります。ただし経営者が忙しく定例に出られない状態が続くと、稼働時間の多くが判断待ちに消えます。月1〜2回、短くても必ず話す時間を確保してください。

外部人材の活用に、公的な支援はありますか?

各都道府県には、内閣府の事業として「プロフェッショナル人材戦略拠点」が設置されており、中小企業が経営人材・専門人材の活用を無料で相談できます。拠点は地域の人材サービス事業者と連携しており、補助金などの支援制度を設けている自治体もあります。制度の内容・対象・要件は自治体ごとに異なるため、所在地の拠点や自治体の窓口に直接確認してください。なお、talentalはプロフェッショナル人材戦略拠点の登録事業者ではないため、拠点を通じた支援制度の対象にはなりません。

出典・調査時点

本記事のデータは、2026年9月16日時点で確認できた自社調査および各調査機関の公表資料にもとづきます。中小企業の事業開発についての整理は一般的な傾向をまとめたもので、個別の事業や契約条件によって異なります。公的な支援制度の内容・対象・要件は自治体ごとに異なるため、利用にあたっては各窓口にご確認ください。

黄 千尋

EDITOR

この記事の編集

黄 千尋こう ちひろ

talental ディレクター

2015年よりフリーランスのライター・編集ディレクター・広報として活動し、2024年9月にtalentalへ参画。タレントのサポートを担当しながら、外部人材の活用に関するガイドの編集を担当している。