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外部人材の活用を稟議で通す方法 稟議書の書き方・記入例と費用対効果の示し方(テンプレートつき)

公開日 更新日 発注担当者向け

外部人材に事業開発を任せたい。けれど、稟議で「なぜ社員ではないのか」「本当に効果があるのか」と聞かれて止まってしまう。このガイドでは、業務委託などで外部人材を活用するときの稟議書の書き方を、9つの項目と記入例で解説します。費用対効果の示し方と、決裁者によく聞かれる質問への答え方もまとめました。そのまま使えるPowerPointのテンプレートも無料でお配りしています。

調査時点:2026年10月14日/金額は記入例で、正社員採用の比較は公的統計と仮置きの値にもとづく試算です。

この記事の結論

  • 外部人材の稟議が止まる一番の理由は、費用対効果を社内で説明しにくいことです。月額や時間単価ではなく、「判断できるところまで進めるのに、いくら・何カ月かかるか」で比べると説明しやすくなります。
  • 稟議書の中で一番大事なのは「3カ月後の状態」の一文です。稼働量と費用の根拠になり、続けるかどうかを判断する基準にもなります。
  • やめ方を先に書いておくと、決裁のハードルが下がります。判断日と、終了も含めた選択肢を稟議の時点で示します。

外部人材の稟議が止まる理由

企業の購買は、担当者ひとりでは決まりません。HubSpot Japanが2026年に発表した調査(BtoB商材の購買に関わった1,573人が対象)では、次のような結果が出ています。

46.9%

購買に関わった社内の人が5人以上

本人を含む

50.9%

検討から決定まで1カ月以上

21.9%

「社内で費用対効果を説明しにくい」

意思決定の難しさとして最多

関わる人が多く、検討に時間がかかるほど、「なぜこの方法なのか」を一人ひとりに説明し直す場面が増えます。外部人材の活用は、社員の採用やツールの導入に比べて社内に前例が少ないことも多く、決裁者が比べる基準を持っていないことが、稟議が止まる原因になりがちです。

そこで稟議書では、外部人材を使う理由を「人が足りない」で終わらせず、何を、いつまでに、どこまで進めるのかと、何と比べてこの方法を選んだのかを示すことが大切になります。

この記事の内容をまとめた稟議書テンプレート(PowerPoint)があります。記入例つきで、自社の内容に書き換えるだけで使えます。 テンプレートを受け取る ↓

稟議書に書く9つの項目と記入例

外部人材を活用する稟議書は、次の9つの項目で組み立てると、決裁者の疑問に順番に答えられます。記入例は、新規事業の仮説検証を、事業開発の経験者に週1日(月32時間)で3カ月任せる場合です。

件名

何のために、何を使うのかが件名だけで分かるようにする

記入例:新規事業「◯◯」の仮説検証に向けた外部人材(業務委託)活用の件

1. 目的と背景

「なぜ今か」「なぜ社内だけでは進まないか」の2点。社内で対応できない理由は、人数ではなく経験やスキルの不足として書く

記入例:2027年3月の事業化判断までに顧客ヒアリングと仮説検証を終える必要がある。社内に事業開発の実務経験者がおらず、兼務では週2時間程度しか確保できていない

2-1. 依頼する業務

作業の名前ではなく、相手に渡してもらう成果物で書く

記入例:ヒアリングの設計と実施、仮説の更新、月次の報告資料の作成

2-2. 依頼しない業務

「外部に何でも任せるのでは」という決裁者の不安を先に消す

記入例:事業化の最終判断、社外への正式な発注・契約、社内人事に関わる判断

2-3. 3カ月後の状態

稼働量と費用の根拠になる一番大事な欄。3カ月後の評価でもこの文を使う

記入例:検証する仮説が3つに絞れ、事業化するかどうかを判断する材料(顧客の声・市場規模の見立て・必要な体制)がそろっている

3. 体制

外部人材の稼働量と定例の頻度に加え、社内窓口が使う時間を書く。請求書に出ない社内のコストを明らかにする

記入例:外部人材は月32時間(週1日相当)、週1回30分の定例。社内窓口は◯◯部の◯◯が週2時間を確保

4. 費用

月額と、最初に承認を取る金額(月額×最低契約期間)。後から直接契約や雇用に切り替える場合の費用も書いておく

記入例:時間単価1万円×月32時間=月額32万円(税抜)。最低契約期間3カ月で、初回の予算は96万円

5. 費用対効果

単価ではなく「判断できるところまで進めるのに、いくら・何カ月かかるか」で比べる(次の章で詳しく解説)

記入例:同じ役割を正社員で採用する場合と、6カ月間の総額と業務が進む月数で比較

6. 比較した選択肢

1社だけで決めていないことを示す。比べた軸と選んだ理由を1〜2行で

記入例:正社員採用・コンサルティング会社・業務委託サービス3社を比較し、翌月から着手でき3カ月ごとに見直せる点で選定

7. リスクと対策

決裁者がよく聞く質問への答えを先に書く(後の章で解説)

記入例:秘密保持契約を結び、共有フォルダを1つに限る。3カ月目に判断日を設ける

8. 評価と継続の判断

「いつ」「何を見て」「誰が」判断するか。終了も選択肢として示す

記入例:2027年1月末に、2-3の状態に届いたかで、継続・稼働の増減・範囲の変更・終了を判断する

9. 添付資料

見積書と提案書は、この項目に沿った形で出してもらうよう依頼するとまとめやすい

記入例:見積書、提案書、比較表、秘密保持契約書(案)

決裁者が最初に読むのは、件名と「いくら・いつから・いつ判断するか」の3点です。テンプレートでは、表紙のすぐ後にこの3点を1枚にまとめた要約のスライドを入れています。

費用対効果の示し方

外部人材の費用は、月額だけを見ると高く見えることがあります。比べる相手は、同じ役割を正社員で採用した場合です。ただし、外部人材は月の稼働時間ぶん、正社員はフルタイムで働くため、時間単価や月額で比べると話がかみ合いません。比べるのは、判断できるところまで進めるのにかかる総額と期間です。

6カ月で比べた場合の内訳(記入例)

費用の項目 外部人材に任せる 正社員を採用する 計算の前提
利用料 192万円 - 外部人材: 月32万円×6カ月
紹介手数料 0円 280万円 正社員: 年収800万円×35%(仮置き)
給与 - 133万円 正社員: 入社まで4カ月のため、在籍は2カ月分
社会保険料などの会社負担 0円 20万円 正社員: 給与の15%(仮置き)
入社準備・求人広告 ほぼなし 自社の実績 PC・備品・研修、求人広告を使う場合
合計 約192万円 約433万円+α 業務が進む月数: 外部人材5カ月/正社員0カ月(入社まで4カ月・立ち上がり2カ月)

金額は税抜の記入例です。紹介手数料率35%、社会保険料などの会社負担15%、入社までの期間は仮置きの値です。参考として、厚生労働省の委託調査では、年収に一律の料率で手数料を定める紹介事業者(医療・介護・保育以外の職種)の平均は32.4%でした。

公平に比べるために、外部人材の側だけにかかる費用も書いておきます。たとえば、外部人材を後から社員として迎える場合や、直接契約に切り替える場合の費用です。契約前に、サービスごとの条件を確認しておきましょう。

金額に出ない違い

費用の比較だけでは見えない違いもあります。稟議書では、次の3点もあわせて示すと、外部人材を選ぶ理由が伝わりやすくなります。

観点 外部人材に任せる 正社員を採用する
着手までの速さ 契約の翌月から稼働できる 募集から入社まで数カ月かかり、入社後の立ち上がりにも時間がかかる
合わなかったときのリスク 契約期間の区切りで、終了するか人を替えるかを判断できる 雇用は簡単には終えられず、配置転換などで対応することになる
事業の段階が変わったとき 必要な経験を持つ人への入れ替え、人の追加、稼働量の増減で対応できる 新たな採用や育成が必要になる

とくに事業開発は、仮説検証・立ち上げ・拡大と段階が進むたびに必要な経験が変わります。段階に合わせて人を組み替えられることは、外部人材を使う大きな理由になります。

正社員の解雇には、客観的に合理的な理由と社会通念上の相当性が必要です(労働契約法第16条)。業務委託でも、従業員を使用する発注事業者が6カ月以上の契約を途中で解除する場合などは、30日前までの予告が必要です(フリーランス・事業者間取引適正化等法)。

武田 直人 talental株式会社代表取締役社長

事業開発の現場から

外部人材活用の最大のメリットは、正社員採用よりも圧倒的にリソース確保のスピードが上がることです。

今回の稟議書テンプレートでは、単純なコスト比較として算出していますが、特に事業開発領域においては、失った時間による損失は算出こそ難しいですが非常に大きな逸失費用となります。

契約形態ごとの費用のかかり方は「事業開発を外部人材に任せる費用」へ →

決裁者によく聞かれる質問と答え方

稟議書の「リスクと対策」には、決裁者が聞きそうな質問への答えを先に書いておきます。よく出るのは次の5つです。

社員ではなく外部に任せる理由は?

翌月から着手できること、合わなかった場合に契約期間の区切りで見直せること、事業の段階が変わったときに必要な経験を持つ人へ組み替えられることの3点で答えます。

情報は漏れないか?

秘密保持契約を結び、共有するフォルダやツールの権限を必要な範囲に限ります。契約終了時にアカウントを削除することも決めておきます。

成果が出なかったらどうするか?

3カ月目に判断日を設け、「3カ月後の状態」に届いていなければ終了または範囲の見直しをすることを、稟議の時点で書いておきます。

その人がいなくなると回らなくなるのでは?

手順書・議事録・判断の記録を残すことを依頼内容に入れ、社内の窓口が並走する体制にします。

結局、高くないか?

月額や時間単価ではなく、判断できるところまで進めるのにかかる総額と期間で、正社員を採用した場合と比べて示します。

契約で押さえる点は「外部人材と業務委託契約を結ぶときの注意点」へ →

3カ月後の評価を先に決めておく

最初の契約期間は3カ月前後で区切り、終わりに続けるかどうかを判断します。稟議の時点で判断日と判断の基準を決めておくと、決裁者は「始めたらやめられない」という不安を持たずに済みます。

いつ

最初の契約期間の終わり(例: 3カ月目の末)

何を見て

稟議書の「3カ月後の状態」に届いたか。窓口の負担と費用は想定どおりだったか

どう決めるか

継続/稼働を増やす・減らす/範囲を変える/終了

稟議書テンプレートを受け取る

この記事の内容を、そのまま使えるPowerPointのテンプレートにまとめました。記入例を自社の内容に書き換えるだけで、稟議書として提出できます。どのサービスを検討する場合でもお使いいただけます。

TEMPLATE

外部人材活用の稟議書テンプレート

PowerPoint・全15枚。各スライドのノート欄に書き方のポイントを入れています。

  • ・要約・目的・依頼する内容・体制
  • ・費用と費用対効果(総額・内訳・金額に出ない違い)
  • ・比較した選択肢・リスクと対策
  • ・判断の時期と3カ月後の評価シート

入力したメールアドレスに、ダウンロード用のリンクをお送りします。

talentalの位置づけ

talentalは、要件を伝えて候補者の推薦を受けるエージェント型のサービスで、事業開発(BizDev)領域の実務経験者を扱っています。料金は月50,000円から、最低契約期間は3カ月からで、料金・稼働条件・契約の切り替え条件をあらかじめ公開しています。稟議書の費用欄に書く金額を、見積もりの前に見通せます。

talentalのサービス詳細を見る →

よくある質問

外部人材の活用は、稟議が必要ですか?

社内規程によります。多くの会社では、一定額以上の発注や継続的な契約に稟議や決裁が必要です。業務委託は毎月の支払いが続くため、月額だけでなく最低契約期間分の総額で決裁区分を確認してください。

稟議書の費用は、税込と税抜のどちらで書けばいいですか?

社内の決裁基準に合わせます。見積書が税抜表示の場合は、稟議書にも税抜と明記したうえで、決裁区分の判定に使う金額(税込か税抜か)を社内のルールで確認しておくと、差し戻しを防げます。

費用対効果は、数字で示せない場合どう書けばいいですか?

売上などの成果を事前に約束できない業務では、「3カ月後にどの状態になっていれば成功か」を文章で決め、その状態に届くまでの総額と期間を示します。成果の金額ではなく、判断材料が手に入るまでのコストとして説明する方法です。

業務委託の契約で、稟議の前に確認しておくことはありますか?

最低契約期間、途中で終了する場合の条件、直接契約や雇用に切り替える場合の費用、成果物の扱いの4点です。相手が個人や一人法人の場合は、フリーランス・事業者間取引適正化等法で発注側に取引条件の明示などの義務がかかります。

出典・調査時点

本記事の調査・統計に関する記述は、2026年10月14日時点で確認した各資料にもとづきます。金額は記入例で、正社員採用との比較は公的統計と仮置きの値による試算です。実際の稟議では、見積書と自社の採用実績の値に置き換えてください。

黄 千尋

EDITOR

この記事の編集

黄 千尋こう ちひろ

talental ディレクター

2015年よりフリーランスのライター・編集ディレクター・広報として活動し、2024年9月にtalentalへ参画。タレントのサポートを担当しながら、外部人材の活用に関するガイドの編集を担当している。

武田 直人

COMMENT

事業開発の現場からのコメント

武田 直人たけだ なおと

talental株式会社 代表取締役社長

2005年にソフトバンク・ヒューマンキャピタル株式会社へ入社し、マーケティング部門・経営企画部門の責任者を務める。2017年に自ら起案した事業を子会社として設立し、代表取締役副社長に就任。2024年9月にtalental株式会社を設立し、代表取締役社長に就任。